| <第5回> ぺルー・クリオーヤ料理に感服 自然に育まれた豊富な食材、アンデス原産の野菜たちを食す! 文/岩井加代子 |
| クリオーヤ料理とは、ペルー料理の総称のこと。スペインから持ち込まれた食文化にアフリカなどの影響が混ざり合い、ペルーで育った料理なのである。 ペルーは南北に約3000キロもの長い海岸線を持ち、中央にはアンデス山脈が走り、東側にはアマゾンをはじめとした森林地帯が広がる。こうした複雑な地形からはさまざまな食材が採れ、ペルーの料理はとてもバラエティに富んでいる。 ペルーの海産物はヒラメや鯛などの白身、イカ、タコ、エビ、カニなど。フンボルト海流に乗ってアンチョビが大量
に水揚げされ、海外へ輸出もされている。新鮮な魚介類が採れるペルーならではの料理がセビッチェというマリネのようなもの。白身魚、イカ、タコ、紫玉
ねぎを香辛料とレモン汁で味つけされていて、生のシーフードとレモンの酸味のマッチングが絶妙! 刺身大好きの日本人なら一度は食べてみたい。海岸線の街でなら、たいていありつけるはずだ。リマのミラフローレスやサン・イシドロ地区の海岸沿いのレストランは雰囲気がある高級店が多い。イカ、エビ、ホタテなどのグリルやフライがおいしい。 そして、アンデスあたりで収穫されるのはジャガイモやトウモロコシだ。アマゾンでは巨大淡水魚パイチェのフライやステーキ、熱帯の果
物のマンゴやパパイヤ、バナナなども濃厚でみずみずしい。驚くなかれ、ジャガイモ、トウモロコシ、カボチャ、トマト、トウガラシは中央アンデスが原産だったのだ。ペルーでは紀元前3000年頃にトウモロコシの栽培が始まっている。今からおよそ500年前、スペインはペルーに侵攻した。その後、スペイン人が本国に戻る際、アンデス原産の野菜は海を渡り、ヨーロッパ中、いや世界中に広まったのである。今ではすっかり身近になった野菜も、ルーツをたどれば遥か遠くのアンデスにいきつくからおもしろい。 ペルーのトウモロコシはカラフルで見ているだけで楽しくなる。白、黄色、オレンジにちかい黄色、赤紫、紫など、ひとくちにトウモロコシといっても、たくさんの色合いがある。トウモロコシは種類も豊富なので、食べる飲むなどのいろいろな調理方法がある。トウモロコシをすりつぶし、トウモロコシの葉で蒸したちまきのようなタマーレスはペルーらしい料理。チチャはトウモロコシを醗酵させたアンデスのお酒。紫トウモロコシと果 物を煮込んだチチャモラーダは甘くてとろっとしたジュースだ。 もちろんペルー原産のパパ(ジャガイモ)料理もおいしい。ペルーでは食用として約100種のジャガイモが栽培され、ポテトだけで7種類も入ったスープがあるほどだ。パパ・ア・ラ・ワンカイーナは茹でたポテトに唐辛子が入ったチーズソースがけでコクがある。ひき肉や玉
ねぎ入りのパパ・ア・ラ・イエーナもコロッケみたいで懐かしい味。フライドポテトと野菜、スライス牛肉を一緒に炒めたロモ・サルタードは、ライスが添えられ、ボリューム満点。ぶっかけ御飯のようにしてダイナミックに食べると旨い。料理だけでなく、アルコールもなかなか充実している。ぶどうの焼酎ピスコに卵白、リモン(レモン)、砂糖を加えシェイクしたピスコサワーは、口あたりが良く、女性に好まれる。ただし、アルコールはけっこう強いので、飲み過ぎには要注意。ドイツのビール造りの技術を取り入れたオリジナルビールが各地にあるのもうれしい。有名なのはクスコのクスケーニャ、アレキのパアレキペーニャ、リマのクリスタルやピルセン、アマゾンのサン・ファンなど。 ペルーを訪ねてみたら、ぜひいろんな料理やお酒にトライしてみよう。何千年も前から存在していたペルーの食べ物。植民地化されてからはそれらが世界中に広まるなど、ペルーの食材や料理には歴史や文化が色濃く残っている。観光名所を訪ねるだけでなく、味覚でもペルーの魅力の奥深さをぜひ味わってみたい。 |